短時間労働者の社会保険は「2ヶ月連続」がカギ
週20時間を超えたら、いつ加入させるべき?
「今月はたまたま忙しかっただけだから、まだ加入させなくていいよね?」「20時間を超える月もあるけれど、基準はどこで見るの?」
パート・アルバイトのシフトが月ごとに増えたり減ったりすると、判断に迷う場面が多くなります。
ポイントは「1ヶ月だけ」ではなく「2ヶ月連続」して基準を超えているかどうか。
本記事では、短時間労働者の社会保険加入で実務上とても重要な「2ヶ月連続ルール」 にフォーカスして、アセント社労士事務所がわかりやすく解説します。
社会保険の加入基準は「時間」と「規模」からスタート
まず大前提として、短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務は「1週間の所定労働時間」と「会社の規模(社会保険の被保険者数)」で決まります。
- 被保険者数50人以下の会社:週30時間以上で加入義務
- 被保険者数51人以上の会社:週20時間以上で加入義務
ここで詳しく説明しすぎると本題からそれるので、この記事では「週20時間のラインを超えたら、加入の検討が必要になる」という前提だけ押さえておいてください。
実務で超重要なのは「2ヶ月連続ルール」
では、シフト制で毎月の労働時間がバラバラなパートさんの場合、どのタイミングで社会保険加入に切り替えるべきでしょうか。
1ヶ月だけ超えた場合はどう考える?
例えば、雇用契約書では「週15時間程度」の予定でも、繁忙期で
・1ヶ月目:平均 週22時間(=月約95時間勤務)
・2ヶ月目:平均 週23時間(=月約100時間勤務)
となることがあります。このような場合、実務上の目安として使われているのが「2ヶ月連続で週20時間(月換算で約87時間)を超えたかどうか」です。
年金事務所の調査でもよく使われる考え方
年金事務所が調査に入った際も、「直近数ヶ月の勤務実績を確認し、2ヶ月連続で週20時間以上で働いているのに、社会保険に入れていない」という点を指摘されるケースがよくあります。
そのため、実務では「2ヶ月連続で基準時間(週20時間・月約87時間)を超えたら、3ヶ月目から社会保険に加入させる」という運用が、現場での一つの「ライン」になっています。
具体的なイメージ:このパートさん、いつから加入?
ケース1:繁忙期に2ヶ月連続で基準超え
- 4月:週18時間(加入基準未満)
- 5月:週22時間(基準超え)
- 6月:週21時間(基準超え)
5月・6月と2ヶ月連続で基準超え
↓
7月から社会保険に加入させるのが安全な運用
ケース2:単発的に1ヶ月だけ増えた
- 4月:週18時間
- 5月:週22時間(基準超え)
- 6月:週17時間(基準未満)
一時的に1ヶ月だけ超えただけで、その後また下がった場合は、直ちに加入義務があるとまでは言い切れないケースもあります。ただし、「今後も同じような働き方が続きそうか」など見込みを踏まえた判断が必要です。
加入が遅れた場合のリスク:遡及適用でまとめて負担が発生
「忙しくて手続きを先延ばしにしていた」「ギリギリセーフだと思っていた」そんな状態のまま年金事務所の調査が入ると、加入漏れの指導を受けることがあります。
遡及適用(そきゅうてきよう)とは?
過去にさかのぼって社会保険の加入手続きを行い、会社・本人双方の保険料をまとめて納付することです。
保険料は最大で過去2年分さかのぼって請求される可能性があります。
対象者が複数人いたり、勤務時間が長かったりすると、会社負担分だけでも数十万円〜数百万円規模になることも。さらに本人からも過去分の保険料を徴収しなければならず、大きなトラブルの原因になります。
「2ヶ月連続ルール」を活かした勤怠・シフト管理のポイント
ボーダーラインの従業員をリストアップする
週18〜22時間程度で働いている人や、繁忙期にシフトが増えがちな人を事前に把握しておきましょう。
毎月の実績時間を「累積」でチェックする
毎月、「2ヶ月連続で月87時間前後を超えていないか」をチェックするルーティンを作りましょう。
超えそうな場合は、事前に本人と相談する
「このままだと加入ラインを超えます」と伝え、加入してしっかり働くか、扶養内に抑えるか、本人の希望を確認しましょう。
2ヶ月連続で超えたら、迷わず加入手続きへ
「2ヶ月連続で超えた」「今後も続きそう」なら、速やかに加入手続きへ。先延ばしはリスクです。
まとめ
2ヶ月連続で超えたら「3ヶ月目から加入」が安全ラインです。
- 短時間労働者の社会保険加入は、週20時間前後で働く人が要注意。
- 実務上は「2ヶ月連続で週20時間(月約87時間)を超えたか」が重要な判断材料。
- 加入漏れは「遡及適用」で最大2年分の保険料を請求されるリスクがある。
社会保険の加入判断やシフト管理のご相談は
アセント社労士事務所では、短時間労働者の加入判断や、リスクのないシフト管理の運用サポートを行っています。
「うちのパートさん、このままで大丈夫?」と迷ったら、お気軽にご相談ください。