労務・社会保険、従業員数の数え方にご注意を!
社会保険や労働保険の適用基準となる「従業員数」の定義は、法令ごとに異なります。大阪でサービス業を営む経営者にとって、この基準の把握は極めて重要です。本記事では、アセント社労士事務所が、非常に複雑な従業員数のカウント方法や注意点を分かりやすく解説します。
社会保険の適用拡大における「51人」の定義
厚生労働省は、パート・アルバイトへの社会保険適用拡大を推進しています。現在、従業員数が51人以上の企業は、週20時間以上勤務する労働者を社会保険に加入させる義務があります。
被保険者の人数が基準
この「51人以上」という基準は、全従業員の総数ではありません。正社員や、週30時間以上勤務する「社会保険被保険者」の人数を指します。つまり、社会保険に加入している人数が51人を超えた場合、週20時間以上の短時間労働者も適用対象となります。
労働安全衛生法に関する手続き(50人以上)
労働安全衛生法(安衛法)では、事業場の規模に応じて衛生管理者や産業医の選任が義務付けられています。
全従業員をカウントする
安衛法には「50人以上」という基準がありますが、カウントの方法が社会保険とは異なります。ここでは、社会保険の加入有無に関わらず、アルバイトやパートを含むすべての従業員をカウントします。週1日勤務のスタッフであっても、1人として数える点に注意が必要です。
事業場(拠点)単位での判定
また、企業全体ではなく「事業場(拠点)」ごとに人数を判定する点です。大阪市内に本社があり、支店が複数ある場合、各拠点で50人を超えているかを確認します。50人未満の事業場であれば、原則として衛生管理者の選任義務は発生しません。
産業医の選任義務
産業医(労働者の健康管理を行う医師)の選任も、事業場単位で50人以上の場合に必要です。たとえ正社員が少なく、アルバイトが多い店舗であっても、頭数で50人を超えれば選任しなければなりません。労働実態に合わせた柔軟な基準を求める声もありますが、現行法では厳格な頭数管理が求められます。
労働基準法に関連する手続き
労働基準法に関連する手続きでも、従業員数のカウントの確認は必要です。
就業規則の作成(10人以上)
就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場に作成・届出義務があります。この「10人」も事業場単位でカウントします。アルバイトやパートも含めて判定します。
36協定と過半数代表者
時間外・休日労働に関する「36(サブロク)協定(時間外・休日労働に関する労使協定)」の締結には、従業員の過半数代表者の選任が必要です。この過半数の判定時も、アルバイトを含めた全従業員が分母となります。
独自の計算方法を用いる法律
最近の法改正や特定の法律では、さらに独自の計算方法が採用されています。
女性活躍推進法(101人以上)
2024年4月から、情報の公表義務が従業員101人以上の企業に拡大されました。この人数は、企業全体の総数で判定します。ただし、短期アルバイトは除外され、1年以上継続雇用が見込まれる人が対象となります。
障害者雇用率の計算(40人以上)
障害者雇用義務は、現在40人以上の企業に課せられています。今後、基準は37.5人以上へと厳格化されます。この計算では、短時間労働者を「0.5人」として数えるなど、非常に特殊な算出方法を用います。
まとめ
従業員数の数え方は、法律によって「企業単位か事業場単位か」「社会保険被保険者のみか全従業員か」がバラバラです。
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社会保険の適用拡大: 企業全体の「被保険者数」で判定
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衛生管理者・産業医: 事業場ごとの「全従業員の頭数」で判定
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就業規則・36協定: 事業場ごとの「全従業員の頭数」で判定
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女性活躍推進法: 企業全体の「継続雇用者数」で判定
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障害者雇用: 労働時間に応じた「独自の係数」で判定
※ 上記は一例です。基準の境目にいる企業は、数え方の誤りが法令違反に直結する恐れがあります。
大阪でサービス業を展開する皆様は、正確な判定のために以下のようなポイントを日常的に把握しておくことが重要です。
- 自社の社会保険被保険者が何人いるか把握しているか
- 各事業場(店舗・支店)ごとの全スタッフ数は何人か
- 雇用予定のアルバイトが、どの法律のカウント対象になるか
- 法改正による人数の引き下げスケジュールを把握しているか
従業員数の管理や社会保険のお悩みを解決します
アセント社労士事務所は、大阪のサービス業を中心に働き方改革をサポートしています。
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