サービス業の年末年始!
有給休暇の時季変更権は使える?
「ぐぬぬ…戦場だ!この忙しい時に有給!?」「社長、お待ちください!」
シフトが崩れる…でも有休は原則OK。では時季変更権を使えるのはどんなとき?
年末年始は多くのサービス業で繁忙期を迎えます。この時期、従業員からの有給休暇申請に対し、会社側が「時季変更権」を行使できるのか、といったご相談が増える時期でもあります。
今回は、有給休暇の時季変更権について、具体的なケースを交えながら解説します。
サービス業の年末年始と有給休暇
クリスマスから年末年始にかけて、サービス業では多忙を極める時期です。従業員の方々が活躍される一方で、この時期に有給休暇の取得を希望されるケースもあります。会社としては、業務への支障を懸念されることでしょう。
繁忙期の有給申請、会社は「時季変更権」を使えるのか?
結論から言うと、単に「忙しいから」という理由だけでは、時季変更権の行使は認められにくいのが現状です。
有給休暇の取得は労働者の権利であり、原則として希望する日に取得させなければなりません。
時季変更権の行使が認められるケース
では、どのような場合に会社は時季変更権を行使できるのでしょうか。主なケースを3つご紹介します。
1. 業務の運営が不可能になる場合
特定の従業員が有給休暇を取得することで、以下のような状況に陥る場合です。
- その従業員がいなければ、店舗や施設を閉鎖せざるを得ない
- 事業の運営そのものが成り立たなくなる
単に「忙しくなる」「他の従業員の負担が増える」というだけでは、この条件には該当しません。事業の存続に関わるような、客観的に見て避けられない事態である必要があります。
2. 複数人の申請により業務に支障が出る場合
同一日に複数名の従業員から有給休暇の申請があり、全員の取得を認めると事業の正常な運営に著しい支障をきたす場合です。
- 店舗が機能しない、営業が停止するといった状況
- この場合、一部の従業員に対して時季変更権を行使できます。
- ただし、全員に対して一律に行使することは困難です。
申請理由の重要性
誰の申請を優先し、誰に時季変更を求めるかという判断基準の一つに、有給休暇の「申請理由」が挙げられます。
現在でも多くの会社で有給休暇の申請書に理由欄がありますが、本来、従業員は有給休暇の理由を会社に伝える義務はありません。
しかし、複数人による同時申請で時季変更が必要になった際、申請理由が時季変更の可否を判断する材料となることがあります。たとえば、「この日でなければならない」という明確な理由がある場合と、「私用のため」という理由で調整が可能な場合とでは、対応が変わることがあります。
3. 長期間の有給休暇申請の場合
有給休暇は、法律上最大で40日まで繰り越して取得可能です。仮に40日間の有給休暇を一括で申請された場合、その間の休日を含めると実質2ヶ月程度の長期休暇となります。このような長期間の有給休暇申請は、事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
事前準備の重要性
従業員が長期間の有給休暇を取得する際には、以下の点が見られます。
- 自身の業務の引き継ぎや、他の従業員への配慮をどの程度行ったか
- 休暇中の業務体制について、事前に準備や調整を行ったか
何の準備もなく、いきなり長期休暇を申請された場合には、会社側が時季変更権を行使できる余地が出てくることがあります。
まとめ
- 繁忙期という理由だけでは、有給休暇の時季変更権は原則として行使できません。
- 時季変更権が認められるのは、事業の運営が不可能になる、または著しい支障が生じるケースに限られます。
- 複数人による同時申請の際には、申請理由が時季変更の判断材料となることがあります。
- 長期間の有給休暇申請においては、従業員による事前の準備や配慮も考慮されます。
有給休暇の時季変更権は、非常に限定的な状況でしか使えない権利です。
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