平時の対応

シフトが減ったアルバイトの社会保険は、勝手に外せません。入れるときは自動で、外すときは話し合いです。

2026.08.23
シフト制アルバイトの社会保険資格喪失

アルバイトの勤務時間が減ってきました。

社会保険の加入基準を、下回るようになりました。

「じゃあ、資格喪失ですね」

実は、そう簡単にはいきません。

今日は、この話をします。

退職であれば、退職日をもって資格喪失です。

迷うところはありません。

迷うのは、辞めないまま勤務時間だけが減っていくアルバイトです。

先に結論を言っておきます。

入れるときは自動ですが、外すときは本人との話し合いがいります。

ここでいう社会保険は、健康保険と厚生年金のことです。

加入の基準は、会社の規模で違います。

まず、加入の基準を確認しておきます。

今は、会社の規模によって基準が2つに分かれています。

社会保険に加入している人が51人以上の会社は、週20時間以上で加入義務です。

50人以下の会社は、正社員の4分の3以上、おおむね週30時間以上で加入義務です。

50人と51人の間に、線が引かれています。

ややこしいですね。

この規模の線は、2025年6月に成立した年金制度改正法で、段階的になくなっていきます。

来年、2027年10月からは36人以上の会社が対象になります。

そこから2035年10月まで、10年かけて広げていくことになっています。

年金制度改正法が成立しました(厚生労働省)

入れるときは、2か月連続で超えたら3か月目からです。

アルバイトは、シフト勤務で働く時間が流動的な人が多いです。

だから、加入基準を行ったり来たりする人が出てきます。

「今月は超えました」

「次の月は超えませんでした」

「その次の月は、また超えました」

こういう人を、いつ入れるのか。

ここは、はっきりした答えがあります。

月単位で見て、2か月連続で基準を超えたら、3か月目から入れる。

日本年金機構の質問集に、この趣旨の回答があります。

実際の労働時間が連続する2か月で週20時間以上となり、その状態が続く見込みなら、3か月目の初日に資格を取得する。

こういう内容です。

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大 質問集(日本年金機構)

基準を超えたら、会社の都合に関係なく入れなければなりません。

入れるときは、半ば強制です。

外すときは、同じようにはいきません。

問題は、逆のときです。

今まで基準を満たして加入していた人の勤務時間が、減ってきた。

2か月連続で、基準を下回った。

では、3か月目から外していいのか。

ここが、一筋縄ではいきません。

社会保険は、基準を超えたら加入しなければなりません。

一方で、基準を少し下回ったからといって、すぐに外れるものでもありません。

年金機構の質問集にも、こういう趣旨の回答があります。

『資格取得後に要件を下回っても、契約の見直しなどで下回ることが明らかになった場合を除き、資格は喪失しない。』

ただし、常態的に下回る状況が続くことが確認できるなら、実態を踏まえて資格喪失する。

賃金の要件についての回答ですが、考え方は勤務時間でも同じです。

一時的な減少なのか、もう戻らないのか。

それは、会社が一方的に決められる話ではありません。

だから、一度入れた人を勤務時間が減ったからといって勝手に外すことは、お勧めしません。

基本は、本人の同意を得ることです。

これは法律上の義務ではなく、実務上の進め方です。

2か月連続で下回っていること。

今後も勤務時間が増える予定がないこと。

この2つを本人と確認して、資格喪失を提案する。

本人がそれでいいと言えば、喪失させる。

これが、基本の流れです。

抜けたい人は、多いです。

提案すれば、たいていの人は受け入れてくれると思っています。

勤務時間が減れば、収入もそれに比例して減ります。

社会保険料も時期は少しずれますが、基本的には減ります。

それでも、収入が減ると保険料の負担は重く感じるものです。

「外してくれるなら、外してほしい」

こう考える人は、多いと思います。

配偶者や親の扶養に入れる人なら、なおさらです。

抜けたくない人も、一定数います。

一方で、抜けたくない人も一定数いらっしゃいます。

どういうことか。

会社の社会保険を抜けると、自分で国民年金と国民健康保険を払うことになります。

誰かの扶養に入れる人はいいのです。

自分で払うことになる人は、どちらが得かを考えます。

会社の社会保険は、保険料が労使折半です。

厚生年金なら、将来もらえる年金も国民年金だけより多くなることが多いです。

さらに、配偶者やお子さんを扶養している場合です。

会社の健康保険なら、扶養家族の保険料はかかりません。

国民健康保険には、扶養という概念がありません。

家族の分だけ、保険料がかかってきます。

「時間は減るけれど、会社の社会保険には残りたい」

こう考える人がいるのは、自然なことです。

会社は、入れなくていい人を入れ続けたくありません。

ただ、会社の側にも事情があります。

保険料の半分は、会社負担です。

入れなくていい人をずっと入れておくのは、避けたいのが本音です。

もう一つは、不公平感です。

そもそも基準を満たしていない人は、社会保険に入っていないはずです。

「なんであの人だけ、基準を満たしていないのに入り続けているのか」

こういう声が、ほかの従業員から出てくる可能性があります。

基準を満たしていない人もみんな入れてあげる、という選択肢もなくはありません。

でも、そういう会社はあまりありません。

だから会社としては、基準を満たさないまま入り続けている人はできる限り減らしたい。

それが自然だと思います。

節目は、次の雇用契約の更新です。

同意がいる以上、頑張って同意を得てください、ということになってしまいます。

ただ、いつ切り出すかは決められます。

節目は、次の雇用契約の更新です。

アルバイトは、半年や1年で雇用契約の更新を迎えることが多いです。

更新の面談で、さきほどの2つを確認します。

そのうえで、それでも社会保険に残りたいかを聞きます。

残りたいなら、基準を満たす勤務時間で契約してもらいます。

そもそも、基準を超えて働いていた実績があったから社会保険に入れたのです。

また基準を満たせる勤務に戻ってください、という持っていき方です。

社会保険に残りたいなら、残れるだけ働いてもらう。

筋は、通っています。

残らなくていいなら、基準を満たさない勤務時間で契約を結びます。

満たさないので社会保険には加入しない、ということも契約書に書いておく。

契約書を書いたからすぐに資格喪失できる、というわけではありません。

あくまで同意がいります。

ただ、正式な書類をもって同意をいただく、という形に持っていけます。

更新より前に言われたら、更新まで待ちます。

更新のだいぶ前に、本人から「抜けたくない」と言われることもあります。

そのときは、会社の負担もあるので次の契約までは待ちましょう、と伝えます。

そのときにまた相談させてください、と言っておく。

面談の場を、先に約束しておくわけです。

なかなか、即効薬のようなものはありません。

それでも、節目を決めておけば、話は必ず一度はできます。

そもそも、そういう人だと分かっているなら、勤務時間を減らさないという手もあります。

ただ、その時点で防御線を張るのは、それはそれで難しいと思います。

専門家がそばにいれば、あらかじめ対策できることもあるかもしれません。

勤務時間がだんだん減ってきた人を外すときは、一筋縄ではいかないことが多い。

だからこそ、切り出す節目を先に決めておいてください。

まとめ

退職なら、退職日で資格喪失です。

迷うのは、辞めないまま勤務時間だけが減っていくアルバイトです。

加入の基準は、51人以上の会社は週20時間、50人以下の会社は週30時間です。

この規模の線は、2027年10月から段階的になくなっていきます。

入れるときは、2か月連続で基準を超えたら3か月目からです。

年金機構の質問集に、この趣旨の回答があります。

入れるときは、半ば強制です。

外すときは、同じようにはいきません。

一時的な減少では喪失せず、常態的に下回るなら実態を踏まえて喪失する、というのが質問集の考え方です。

だから、勝手に外すのではなく、本人の同意を得るのが基本です。

これは法律上の義務ではなく、実務上の進め方です。

抜けたい人は多いですが、扶養家族がいる人などは抜けたくないこともあります。

会社は、保険料の半分を負担しているので、入れ続けたくはありません。

切り出す節目は、次の雇用契約の更新です。

残りたいなら基準を満たす勤務時間で契約し、残らないなら加入しないことを契約書に書きます。

更新より前に「抜けたくない」と言われたら、次の契約まで待ちましょうと伝えて、面談を約束しておきます。

即効薬はありませんが、節目を決めておけば話は必ず一度できます。

働き方をアセントさせる一歩は、外す話を切り出す節目を、先に決めておくことです。

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