【2026年度(令和8年度)】社会保険料率の変更点と子ども子育て支援金の解説
新年度に向けた準備が本格化する時期となりました。給与計算を担当される皆様にとって、毎年この時期は保険料率の改定情報が気になる季節ではないでしょうか。
特に今年は、例年以上に複雑な変更が含まれており、実務上の注意が必要です。本記事では、アセント社労士事務所が最新情報を整理し、大阪のサービス業をはじめとする企業の皆様へ、働き方を上昇させるためのヒントをお届けします。
2026年度 社会保険料率改定の全体像
今年度の改定における最大のトピックは、新たに導入される「子ども子育て支援金」です。これに伴い、給与からの徴収項目が増加するため、事務手続きが従来よりも煩雑になります。
全体的な傾向としては、健康保険料と雇用保険料が引き下げられる一方で、支援金が追加される形となります。トータルでの負担増減や、実務担当者が押さえておくべき徴収開始時期のズレについて、詳細を確認していきましょう。
各保険料率の変更詳細
ここからは、厚生年金、健康保険、そして新設される子ども子育て支援金、雇用保険の順に、具体的な料率の変化を解説します。
1. 厚生年金保険料:変更なし
まず、もっとも金額の大きい厚生年金保険料についてです。こちらは変更がなく、労使合計で18.3%となります。これを労使で折半するため、従業員・事業主それぞれの負担率は9.15%です。
厚生年金の保険料率は段階的に引き上げられてきましたが、現在は上限の18.3%で固定されています。先の衆院選において「チームみらい」などが社会保険料の引き下げを主張していた経緯もあり、将来的な変動の可能性は否定できません。しかし、2026年度においては現状維持となります。
2. 健康保険料率(大阪の協会けんぽ):引き下げ
次に健康保険料率です。ここでは、多くの中小企業が加入している「協会けんぽ(全国健康保険協会)」の料率について触れます。組合健保にご加入の企業様は、各組合の公表数値をご確認ください。
今年度の協会けんぽの料率は、わずかながら引き下げられます。
- 40歳未満(介護保険該当なし): 労使合計 10.24% → 10.13% に変更(大阪府)
- 40歳以上(介護保険該当あり): 労使合計 11.83% → 11.75% に変更(大阪府)
このように、全体として料率が下がる傾向にあります。従業員負担分は、この数値の半分の料率となります。
3. 【新設】子ども子育て支援金:0.23%
今年度より新たに追加されるのが「子ども子育て支援金」です。この制度は、少子化対策の財源確保を目的として導入されました。
- 料率: 労使合計 0.23%
- 負担: 労使折半
具体的な金額イメージとしては、標準報酬月額が30万円の方の場合、労使合計で月額690円の負担増となります。これを折半するため、従業員個人の給与天引き額は345円程度です。
4. 雇用保険料率:引き下げの見込み
雇用保険料率についても、引き下げの方向で調整が進んでいます。正式な告示は3月中旬頃となりますが、現段階(2/28)での情報は以下の通りです。(一般の事業)
- 全体料率: 1.45% → 1.35%(0.1%の引き下げ)
- 労働者負担分: 0.55% → 0.5%(0.05%の引き下げ)
雇用保険は事業主負担の割合がやや高い制度ですが、労働者負担分に関しても0.05%の減少が見込まれます。
負担額のトータルシミュレーション
これまでの変更点を踏まえ、従業員の給与手取りにどのような影響があるのかを整理します。
【減少要因】
- 健康保険料率:約0.11% 減少(大阪の協会けんぽ)
- 雇用保険料率:約0.05% 減少
- 合計:約0.16% の負担減
【増加要因】
- こども子育て支援金:0.23% の負担増
結果: 減少分(0.16%)よりも増加分(0.23%)が上回るため、トータルでは微増となる傾向です。
ただし、健康保険や厚生年金は「標準報酬月額」に基づいて計算される一方、雇用保険は「総支給額」に対する実額計算となります。給与額が等級の狭間にある場合などは、個別の計算結果が異なる可能性があります。単純比較はできませんが、総じて「こども子育て支援金」の影響により、保険料負担はわずかに上昇すると認識しておくのが無難です。
【重要】実務上の注意点:徴収開始時期のズレ
給与計算実務において、今年もっとも注意すべき点は「徴収開始時期」の不一致です。サービス業など、従業員数が多く入退社が頻繁な企業では、特にミスのないよう設定を確認する必要があります。
通常の社会保険料・雇用保険料
健康保険、厚生年金、雇用保険の料率変更は、例年通り4月分(新年度)から適用されます。
- 健康保険・厚生年金:3月分保険料から適用されます。一般的に翌月徴収の企業が多いため、その場合は、3月分保険料を4月支給の給与で精算します。
- 雇用保険:4月支給の給与から新料率で計算します。
子ども子育て支援金
一方で、新設される「子ども子育て支援金」は、他の保険料とは異なり1ヶ月遅れでの徴収開始となります。
- 適用開始: 4月分保険料から適用されます。
- 給与天引き: 翌月徴収の企業の場合、4月分として5月支給給与からの徴収
この「1ヶ月のズレ」が非常に厄介です。給与計算ソフトの設定において、健康保険料の料率変更と、支援金の徴収開始設定を別々に行う必要があるかもしれません。お使いのシステムの対応状況を早急に確認することをお勧めします。
まとめ
2026年度の社会保険料率は、項目の増減が入り混じり、例年以上に複雑な様相を呈しています。特に、新設項目の徴収タイミングには十分な注意が必要です。
- 厚生年金: 変更なし(18.3%)。
- 健康保険(大阪の協会): わずかに引き下げ(10.13% / 11.75%)。
- 雇用保険: 引き下げの見込み(労働者負担0.5%へ)。
- 子ども子育て支援金: 新設(0.23%)。労使折半で負担。
- 全体影響: 支援金の追加により、トータルでは微増の傾向。
- 最重要事項: 子ども子育て支援金のみ徴収開始時期が1ヶ月遅れるため、給与ソフトの設定には細心の注意を払うこと。
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