【学生アルバイトの雇用保険】加入条件と確認ポイントを解説
大阪を中心に企業の働き方向上を支援するアセント社労士事務所です。
飲食をはじめとするサービス業では、学生アルバイトが重要な戦力となります。
しかし、学生の雇用保険の適用ルールは判断に迷う場面も多いのではないでしょうか。
今回は、学生アルバイトの雇用保険適用ルールと管理の注意点について解説します。
学生は原則として雇用保険の対象外
まず大前提として、昼間学生は雇用保険の「適用除外」となります。
通常、週20時間以上勤務する労働者は雇用保険の加入義務が発生します。
しかし、学生についてはこの労働時間の要件を満たしていても加入できません。
適用除外の理由
雇用保険は本来、失業して働く場がなくなった場合の生活保障を目的としています。
学生の本分はあくまで学業であり、「働くこと」が主たる目的ではないとみなされます。
そのため、原則として雇用保険の対象からは外れることになります。
要注意!雇用保険の加入が必要な学生の例外
「学生=雇用保険に入らなくてよい」と決めつけるのは危険です。
学生であっても、以下の学校区分に通う場合は雇用保険の加入対象となります。
- 夜間学部の学生
- 通信制学校の学生
加入が必要な理由
夜間や通信制の学生は、働きながら学業を修める方が多く在籍しています。
学業よりも就労が生活の主体であるケースも多いため、一般労働者と同様に扱われます。
これらの学生が週20時間以上勤務する場合は、雇用保険の手続きが必要です。
トラブルを防ぐための身分確認と管理
企業として難しいのが、従業員が「本当に学生かどうか」の確認と管理です。
20歳前後のスタッフの場合、大学生、専門学生、あるいは既卒者など様々な可能性があります。
以下のポイントに注意して管理を行いましょう。
1. 入社時の正確な確認
見た目や年齢だけで「きっと学生だろう」と判断するのは禁物です。
学生ではなかった場合、加入漏れのリスクが発生します。
また、学生であっても前述の通り「夜間・通信制」の可能性を確認する必要があります。
ダブルワークをしている場合は、収入の多い方の会社で雇用保険に加入するルールもあります。
2. 在籍中の定期的な確認
入社時だけでなく、継続的な確認も欠かせません。
特に以下のケースでは、加入義務がいきなり発生することがあります。
- 学校を中退して学生ではなくなった場合
- 卒業後もそのままアルバイトを続ける場合
3月の卒業シーズンや、長期休暇明けなどは特に注意が必要です。
本人の申告漏れがないよう、企業側から定期的に状況を確認する仕組みを作りましょう。
学生でも雇用保険の対象だった場合の対応(期限に注意)
もし「昼間学生と思っていたが、実は夜間・通信制だった」「卒業・中退後も勤務が続いていた」などにより、雇用保険の加入対象だったと判明した場合は、速やかに雇用保険被保険者資格取得届の提出が必要です。
提出期限は原則として、被保険者となった日の属する月の翌月10日までです(例:4/5入社なら5/10まで)。
期限を過ぎると、ハローワークから遅延理由書や出勤簿・賃金台帳など追加資料を求められることがあり、会社側の事務負担が増えやすくなります。
資格取得漏れ(加入漏れ)のリスクと事務の大変さ
雇用保険の資格取得が漏れていた場合、原則として、過去2年程度まで遡って是正(遡及取得)の手続きが可能とされます(※状況により取り扱いが変わるため、実務上はハローワーク確認が前提になります)。
ただし、遡及手続きは煩雑で、現場では次のような手間が発生しやすい点に注意が必要です。
- 本来控除していたはずの雇用保険料を、まとめて本人から徴収する必要が出る
- すでに退職している場合、本人からの徴収ができず調整が難航することがある
- 年度更新や賃金台帳・出勤簿の整理など、会社側の事務負担が増える
- そもそも遡れない期間があると、労働者本人に不利益が出る可能性がある
本人不利益の具体例:基本手当(いわゆる失業保険)の給付日数が短くなることも
雇用保険の加入期間(被保険者期間)が短く扱われると、将来の基本手当の所定給付日数に影響します。たとえば一般の離職者(自己都合等)の場合、被保険者期間が10年未満だと90日、10年以上20年未満だと120日と整理されています。本来は10年以上として120日分受け取れるはずだったのに、加入漏れの影響で10年未満扱いとなり90日分になってしまう、ということも理屈として起こり得ます。
まとめ
学生アルバイトの雇用保険管理について、重要なポイントを整理しました。
- 昼間学生は、週20時間以上勤務しても原則として雇用保険は対象外。
- 夜間学部・通信制の学生は、要件を満たせば加入義務がある。
- 年齢や見た目で判断せず、学校の種類や在籍状況を必ず確認する。
- 中退や卒業による身分変更に対応するため、定期的な確認を行う。