労務コラム

「ワークライフバランス」はもう古い。これからの会社に必要なのは「ワークライフハーモニー」です。

2026.06.13
ワークライフバランスからワークライフハーモニーへの転換

働き方をよくしようとすると、よく出てくる言葉があります。

「ワークライフバランス」です。

仕事と生活のバランスを取りましょう。

残業を減らしましょう。

有給を取りやすくしましょう。

休日を増やしましょう。

もちろん、これは大事です。

長時間労働が当たり前で、仕事に人生を吸い取られているような状態は、どう考えても健全ではありません。

でもですね。

これからの時代、本当に必要なのは「ワークライフバランス」ではなく、「ワークライフハーモニー」だと考えています。

ワークライフバランスは「仕事を減らす」考え方です。

ワークライフバランスという言葉を聞くと、天秤をイメージするとわかりやすいです。

片方に「仕事」があります。

もう片方に「生活」があります。

これまでの日本の働き方は、仕事のほうに天秤が大きく傾いていました。

仕事が10。

生活が0。

極端に言えば、そんな状態だったわけです。

そこから、仕事の比重を少しずつ減らしていきます。

仕事を9にして、生活を1にします。

仕事を8にして、生活を2にします。

仕事を7にして、生活を3にします。

これが、ワークライフバランスの基本的な考え方です。

だから、企業では残業を減らしたり、有給を取りやすくしたり、休日を増やしたりしてきました。

もちろん、それ自体は悪いことではありません。

むしろ、必要な取り組みです。

ただ、ここにひとつ問題があります。

ワークライフバランスの考え方では、「総量」があまり変わらないのです。

仕事と生活を、限られた10の中でどう分けるかという発想になりやすいのです。

企業が本気になりにくい理由があります。

ここが、ワークライフバランスの難しいところです。

生活を増やすほど、仕事の比率が下がるように見えてしまいます。

会社からすると、今まで9働いてくれていた人が、8になり、7になるように見えるわけです。

もちろん、従業員の健康や定着を考えれば、やらないわけにはいきません。

でも、企業側の本音としては、積極的に進める動機が生まれにくいのです。

「やらないと人が辞めてしまうから、仕方なくやる」

そんな空気になりやすいのです。

これでは、働き方改革はなかなか前に進みません。

会社としては、従業員のために取り組んでいるつもりでも、心のどこかで「生産性が下がるのではないか」「業績に影響するのではないか」と感じてしまいます。

だから、制度はあるのに使われない。

有給はあるのに取りにくい。

残業削減と言いながら、仕事量は変わらない。

こういうズレが起きてしまうわけです。

ワークライフハーモニーは「総量を増やす」考え方です。

では、ワークライフハーモニーとは何でしょうか。

ハーモニーとは、調和です。

仕事と生活を分けて考えるのではなく、互いに高め合うものとして捉えます。

生活が充実するほど、仕事もうまく回る。

仕事が充実するほど、生活も豊かになる。

これが、ワークライフハーモニーです。

ワークライフバランスが「10をどう分けるか」という話だとしたら、ワークライフハーモニーは「10を11、12、13に増やしていく」考え方です。

ここが大きく違います。

生活を増やしたら仕事が減るのではありません。

生活を充実させることで、仕事の質が上がるのです。

  • 趣味を持つ。
  • 運動をする。
  • 家族との時間を大切にする。
  • 学び直しをする。
  • 旅に出る。
  • 地域活動に関わる。

こうした生活の充実が、仕事のアイデア、集中力、体力、人間的な深みにつながっていきます。

その結果、仕事の成果も上がっていきます。

これが、本来目指すべき働き方です。

休みは「仕事を止める時間」ではありません。

多くの人は、休みを「仕事をしない時間」だと考えています。

もちろん、それも間違いではありません。

疲れているなら、休むことは大事です。

でも、

休みの日にただ寝ているだけ。

テレビを見て終わるだけ。

SNSを眺めて終わるだけ。

それでは、ワークライフハーモニーにはなりにくいです。

休みの日に何をするか。

ここが大事です。

  • 運動をする。
  • 本を読む。
  • 自然の中に行く。
  • 新しい体験をする。
  • 人と会う。
  • 趣味に没頭する。

仕事とは直接関係がなくても、そうした時間が、あとから仕事に効いてくることがあります。

たとえば、休日にランニングをする人がいるとします(私です)。

走ること自体が、すぐに売上につながるわけではありません。

でも、「週末にしっかり走りたい」という目的があるから、平日の仕事を効率よく終わらせようと考えます。

土日に仕事を持ち込まないために、段取りを見直します。

集中して働くようになります。

結果として、仕事の生産性も上がっていくのです。

これが、生活が仕事を押し上げるということです。

企業にとってもメリットがあります。

ワークライフハーモニーの考え方が広がると、企業側の見え方も変わります。

「休ませると売上が減る」ではなくなります。

「休んでもらうことで、仕事の質が上がる」と考えられるようになります。

そうなると、会社も本気で働き方を見直せます。

長時間働くことを評価するのではなく、成果を出す働き方を評価するようになります。

無駄な会議を減らします。

属人的な仕事を減らします。

仕事の優先順位を明確にします。

休みを取りやすくするために、業務の仕組みを整えます。

これは従業員のためだけではありません。

会社のためでもあります。

従業員が元気で、視野が広く、仕事に前向きでいる会社は、やはり強いです。

いい仕事は、いい生活から生まれます。

そして、いい生活は、いい仕事によって支えられます。

この循環を作れる会社が、これから選ばれていくでしょう。

これからの働き方は「奪い合い」ではなく「響き合い」です。

ワークライフバランスは、仕事と生活を奪い合うような考え方になりがちです。

仕事を減らして、生活を増やす。

生活を増やすと、仕事が減る。

そんなゼロサムの発想です。

でも、ワークライフハーモニーは違います。

仕事と生活が響き合います。

生活で得た経験が、仕事に深みを与えます。

仕事で得た成長が、生活を豊かにします。

仕事だけの人生では、どうしても視野が狭くなります。

生活だけを守ろうとしても、仕事の充実がなければ不安が残ります。

大事なのは、どちらかを犠牲にすることではありません。

両方がよくなる設計をすることです。

これからの会社に必要なのは、単に休みを増やすことではありません。

従業員の生活が充実し、その充実が仕事にも返ってくるような環境を作ることです。

そして、働く側も「休みをどう使うか」を考える必要があります。

休みは、ただ消費する時間ではありません。

自分を整え、広げ、深める時間です。

まとめます。

ワークライフバランスは、仕事と生活の比率を整える考え方です。

それは大事です。

でも、それだけでは限界があります。

これから必要なのは、ワークライフハーモニーです。

生活を充実させることで、仕事の質を上げます。

仕事を充実させることで、生活も豊かにします。

仕事と生活を切り分けるのではなく、互いに高め合う関係にしていくのです。

働き方を変えるというのは、単に残業を減らすことではありません。

人生全体の質を上げることです。

会社も、働く人も、この視点を持てるかどうかで、これから大きな差がついていくでしょう。

仕事も生活も、もっとよくできます。

バランスを取るだけで終わらせず、ハーモニーを作っていきましょう。

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