「ワークライフバランス」はもう古い。これからの会社に必要なのは「ワークライフハーモニー」です。
働き方をよくしようとすると、よく出てくる言葉があります。
「ワークライフバランス」です。
仕事と生活のバランスを取りましょう。
残業を減らしましょう。
有給を取りやすくしましょう。
休日を増やしましょう。
もちろん、これは大事です。
長時間労働が当たり前で、仕事に人生を吸い取られているような状態は、どう考えても健全ではありません。
でもですね。
これからの時代、本当に必要なのは「ワークライフバランス」ではなく、「ワークライフハーモニー」だと考えています。
ワークライフバランスは「仕事を減らす」考え方です。
ワークライフバランスという言葉を聞くと、天秤をイメージするとわかりやすいです。
片方に「仕事」があります。
もう片方に「生活」があります。
これまでの日本の働き方は、仕事のほうに天秤が大きく傾いていました。
仕事が10。
生活が0。
極端に言えば、そんな状態だったわけです。
そこから、仕事の比重を少しずつ減らしていきます。
仕事を9にして、生活を1にします。
仕事を8にして、生活を2にします。
仕事を7にして、生活を3にします。
これが、ワークライフバランスの基本的な考え方です。
だから、企業では残業を減らしたり、有給を取りやすくしたり、休日を増やしたりしてきました。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。
むしろ、必要な取り組みです。
ただ、ここにひとつ問題があります。
ワークライフバランスの考え方では、「総量」があまり変わらないのです。
仕事と生活を、限られた10の中でどう分けるかという発想になりやすいのです。
企業が本気になりにくい理由があります。
ここが、ワークライフバランスの難しいところです。
生活を増やすほど、仕事の比率が下がるように見えてしまいます。
会社からすると、今まで9働いてくれていた人が、8になり、7になるように見えるわけです。
もちろん、従業員の健康や定着を考えれば、やらないわけにはいきません。
でも、企業側の本音としては、積極的に進める動機が生まれにくいのです。
「やらないと人が辞めてしまうから、仕方なくやる」
そんな空気になりやすいのです。
これでは、働き方改革はなかなか前に進みません。
会社としては、従業員のために取り組んでいるつもりでも、心のどこかで「生産性が下がるのではないか」「業績に影響するのではないか」と感じてしまいます。
だから、制度はあるのに使われない。
有給はあるのに取りにくい。
残業削減と言いながら、仕事量は変わらない。
こういうズレが起きてしまうわけです。
ワークライフハーモニーは「総量を増やす」考え方です。
では、ワークライフハーモニーとは何でしょうか。
ハーモニーとは、調和です。
仕事と生活を分けて考えるのではなく、互いに高め合うものとして捉えます。
生活が充実するほど、仕事もうまく回る。
仕事が充実するほど、生活も豊かになる。
これが、ワークライフハーモニーです。
ワークライフバランスが「10をどう分けるか」という話だとしたら、ワークライフハーモニーは「10を11、12、13に増やしていく」考え方です。
ここが大きく違います。
生活を増やしたら仕事が減るのではありません。
生活を充実させることで、仕事の質が上がるのです。
- 趣味を持つ。
- 運動をする。
- 家族との時間を大切にする。
- 学び直しをする。
- 旅に出る。
- 地域活動に関わる。
こうした生活の充実が、仕事のアイデア、集中力、体力、人間的な深みにつながっていきます。
その結果、仕事の成果も上がっていきます。
これが、本来目指すべき働き方です。
休みは「仕事を止める時間」ではありません。
多くの人は、休みを「仕事をしない時間」だと考えています。
もちろん、それも間違いではありません。
疲れているなら、休むことは大事です。
でも、
休みの日にただ寝ているだけ。
テレビを見て終わるだけ。
SNSを眺めて終わるだけ。
それでは、ワークライフハーモニーにはなりにくいです。
休みの日に何をするか。
ここが大事です。
- 運動をする。
- 本を読む。
- 自然の中に行く。
- 新しい体験をする。
- 人と会う。
- 趣味に没頭する。
仕事とは直接関係がなくても、そうした時間が、あとから仕事に効いてくることがあります。
たとえば、休日にランニングをする人がいるとします(私です)。
走ること自体が、すぐに売上につながるわけではありません。
でも、「週末にしっかり走りたい」という目的があるから、平日の仕事を効率よく終わらせようと考えます。
土日に仕事を持ち込まないために、段取りを見直します。
集中して働くようになります。
結果として、仕事の生産性も上がっていくのです。
これが、生活が仕事を押し上げるということです。
企業にとってもメリットがあります。
ワークライフハーモニーの考え方が広がると、企業側の見え方も変わります。
「休ませると売上が減る」ではなくなります。
「休んでもらうことで、仕事の質が上がる」と考えられるようになります。
そうなると、会社も本気で働き方を見直せます。
長時間働くことを評価するのではなく、成果を出す働き方を評価するようになります。
無駄な会議を減らします。
属人的な仕事を減らします。
仕事の優先順位を明確にします。
休みを取りやすくするために、業務の仕組みを整えます。
これは従業員のためだけではありません。
会社のためでもあります。
従業員が元気で、視野が広く、仕事に前向きでいる会社は、やはり強いです。
いい仕事は、いい生活から生まれます。
そして、いい生活は、いい仕事によって支えられます。
この循環を作れる会社が、これから選ばれていくでしょう。
これからの働き方は「奪い合い」ではなく「響き合い」です。
ワークライフバランスは、仕事と生活を奪い合うような考え方になりがちです。
仕事を減らして、生活を増やす。
生活を増やすと、仕事が減る。
そんなゼロサムの発想です。
でも、ワークライフハーモニーは違います。
仕事と生活が響き合います。
生活で得た経験が、仕事に深みを与えます。
仕事で得た成長が、生活を豊かにします。
仕事だけの人生では、どうしても視野が狭くなります。
生活だけを守ろうとしても、仕事の充実がなければ不安が残ります。
大事なのは、どちらかを犠牲にすることではありません。
両方がよくなる設計をすることです。
これからの会社に必要なのは、単に休みを増やすことではありません。
従業員の生活が充実し、その充実が仕事にも返ってくるような環境を作ることです。
そして、働く側も「休みをどう使うか」を考える必要があります。
休みは、ただ消費する時間ではありません。
自分を整え、広げ、深める時間です。
まとめます。
ワークライフバランスは、仕事と生活の比率を整える考え方です。
それは大事です。
でも、それだけでは限界があります。
これから必要なのは、ワークライフハーモニーです。
生活を充実させることで、仕事の質を上げます。
仕事を充実させることで、生活も豊かにします。
仕事と生活を切り分けるのではなく、互いに高め合う関係にしていくのです。
働き方を変えるというのは、単に残業を減らすことではありません。
人生全体の質を上げることです。
会社も、働く人も、この視点を持てるかどうかで、これから大きな差がついていくでしょう。
仕事も生活も、もっとよくできます。
バランスを取るだけで終わらせず、ハーモニーを作っていきましょう。
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