カスハラ対策は、お客さんの顔ぶれでルールが変わる、ちょっと複雑なハラスメントです。
今日は、カスハラ対策の話をします。
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が会社の義務になります。
もう、来週です。
ご存じの方も多いと思います。
今日は、何をすればいいのかを3つにまとめます。
方針を決める。
対応ルールを作る。
従業員を守る。
この3つです。
従業員が1人でもいれば、対象です。
根拠の法律は、改正労働施策総合推進法です。
正直、あまり聞き慣れない名前かもしれません。
この法律が改正され、その中でカスハラ対策が義務になりました。
法律によっては、従業員50人以上から、100人以上から、と規模で線を引くものもあります。
カスハラ対策は、そうではありません。
大企業も中小企業も、従業員が1人でもいる会社はすべて対象です。
令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について(厚生労働省)
お客さんには、取引先も入ります。
カスハラは、お客様からのハラスメントです。
では、お客様とは誰なのか。
その会社のお客様は、当然入ります。
ほかにも、取引の相手や、施設の利用者も含まれます。
厚生労働省のリーフレットでは、顧客、取引の相手方、施設の利用者など、事業に関係を有する者、という趣旨で書かれています。
カスタマーハラスメント対策の義務化 リーフレット(厚生労働省)
会社相手の仕事をしていると、取引先をお客様と呼ぶのは違和感があるかもしれません。
ですが、対象です。
会社同士だと、立場の強い弱いもあります。
そういうところも、カスハラ対策の対象になるということです。
パワハラと違って、起きることが会社ごとに違います。
パワハラやセクハラの対策は、どの会社でもほぼ同じです。
怒鳴ってはいけない。
触ってはいけない。
起こりうることも、してはいけないことも、ほぼ共通しています。
カスハラは、違います。
どんなカスハラが起きるのかが、会社によって、業態によって変わります。
例えば、スーパーマーケットです。
ふらっと買い物に来たお客さんが、暴言を吐いてきた。
この場合は、強い態度を取ることも考えられます。
「もう、うちの店には来ないでください」
出入り禁止です。
一方で、会社相手に取引をしている会社です。
普段から懇意にしている取引先で、担当者が変わった。
その新しい担当者が、カスハラをしてくる。
「もう、うちと取引しないでください」
これを言えるかというと、なかなか難しいです。
簡単に来ないでくださいと言える相手なのか、言えない相手なのか。
一人で対応できるのか、組織で対応しないといけないのか。
カスハラ対策は、お客さんの顔ぶれによって、会社ごとに中身が変わります。
パワハラ対策の規程を、そのまま書き写して済むものではありません。
これを念頭に置いたうえで、3つの対応を見ていきます。
まず、社長が「カスハラは許さない」と決めてください。
1つ目は、方針を決めることです。
社長や会社のトップが、カスハラを許さないという方針を決めておく。
これが、とても大事です。
カスハラをしてくるのは、取引先やお客様です。
お客様がいなければ、会社は潰れます。
お客様は神様だとまでは言わないにしても、大事な方々です。
もしかすると、本音ではこう思っている社長もいるかもしれません。
「売上が下がるくらいなら、少々のカスハラは耐えてほしい」
そこを、方針として、はっきり許さないと出す。
会社の方針は、パワハラ対策などでも重要ですが、カスハラ対策は方針を出すことにより重要で、会社の勇気も試されます。
でもその勇気が、従業員の安心につながります。
リーフレットでも、この方針が講ずべき措置の最初に挙がっています。
毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確にして周知する、という趣旨です。
お客様の指摘は、カスハラではありません。
2つ目は、対応ルールを作ることです。
まず、どういうことがあればカスハラなのか、を決めます。
ここが、けっこう大事です。
暴言、暴力、長時間の拘束、過剰な要求。
例えば、スーパーで買った商品に虫が入っていた。
取り替えまでは、分かります。
そのうえで、あれもくれ、これもくれと言ってくる。
こういうものは、カスハラになる可能性が高いです。
一方で、お客様がクレームを言うことが、そのままカスハラになるわけではありません。
店の不備やミスがあって、お客様が怒る。
これは、普通にあることです。
指摘が筋の通ったもので、確かに店のスタッフが悪い、ということもあります。
指摘を受けた側は、もちろんいい気はしないと思います。
それでも、これは単なるお客様の指摘です。
厚生労働省も、顧客からの苦情のすべてがカスハラに当たるわけではない、としています。
社会通念上許容される範囲のものは正当な申入れだ、という趣旨です。
パワハラでも、よくあります。
単なる注意なのに、受けた側がパワハラだと騒いでしまう。
カスハラでも、同じ取り違えが出てくるのではないかと思います。
こういうことはカスハラ、こういうことはカスハラではない、という線引きを、対応ルールに書いておいてください。
対応ルールには、報告先と相談窓口も入れてください。
線引きの次は、起きたときの手順です。
カスハラがあったら、まず誰に報告するのか。
最終的には、本社のどこに相談するのか。
これを、決めておくことが大事です。
リーフレットには、あらかじめ決めておく対処の例も挙がっています。
管理監督者に指示を仰ぐ。
可能な限り、一人で対応させない。
犯罪に当たりうる言動は、警察に通報する。
本社や本部に情報を共有して、指示を仰ぐ。
ここも、会社の業態に合わせて決めることになると思います。
最後に、従業員を守ってください。
3つ目は、従業員を守ることです。
カスハラを受けた人は、心に傷を負うこともあります。
起きた後のフォローが要ります。
それから、研修です。
こういうことがあったら、こうしてください。
逆に、こういうことはカスハラには当たりません。
この線引きまで含めて、従業員に教育し、理解してもらっておくことが大事です。
逆恨みされないように、情報を守ってください。
従業員を守るという点では、プライバシーの保護もあります。
カスハラがひどい人は、対応した従業員のことを覚えています。
変な逆恨みをされる可能性があります。
最悪の場合、警察や弁護士が入ったり、訴訟になったりするかもしれません。
それが終わった後に逆恨みされないよう、従業員の情報の取り扱いにも気をつけておく必要があります。
まとめ
2026年10月1日から、カスハラ対策が会社の義務になります。
従業員が1人でもいれば、会社の規模に関係なく対象です。
お客様には、取引先や施設の利用者も含まれます。
パワハラやセクハラと違い、カスハラは会社ごとに起きることが違います。
スーパーなら出入り禁止と言えても、取引先には取引をやめてくださいとは言いにくいです。
やることは、3つです。
1つ目は、社長がカスハラを許さないという方針を決めること。
2つ目は、対応ルールを作ること。
カスハラとそうでないものの線引き、報告先、相談窓口を決めておきます。
お客様の筋の通った指摘は、カスハラではありません。
3つ目は、従業員を守ること。
起きた後のフォロー、研修、逆恨みされないための情報の取り扱いです。
自社のお客さんの顔ぶれに合わせて、この3つを決めておいてください。
働き方をアセントさせる一歩は、自社のお客さんに合わせて、どこからがカスハラかの線を引くことだと思います。
こうした労務の話は、公式LINEでも配信しています。
ご登録いただいた方には、就業規則のチェックリストをお渡ししています。