労務コラム

2ヶ月連続で加入基準を超えたら、社会保険に入れてください。入れ忘れが見つかると2年さかのぼりも!

2026.11.03
アルバイトの社会保険、2ヶ月連続の加入基準超えを確認

今日は、アルバイトさんの社会保険の話をします。

先に結論を言っておきます。

加入基準を2ヶ月連続で超えたら、社会保険に入れてください。

入れないままにしておくと、あとで大きなお金の問題になります。

加入基準は、勤務時間で決まります。

社会保険というのは、健康保険と厚生年金のことです。

この社会保険には、加入基準があります。

基準になるのは、勤務時間です。

基本的には、週30時間を超えると加入しないといけません。

ただ、一部の会社では、これが週20時間になっています。

社会保険の被保険者が、51人以上いる会社さんです。

51人は、従業員数ではなく被保険者数で数えます。

ここは、意外と知られていないところだと思います。

51人というのは、従業員の数ではありません。

社会保険に入っている被保険者の数です。

たとえば、従業員は100人以上いる会社さんがあるとします。

でも、短時間の方が多くて、社会保険に入っているのは30人ぐらい。

こういう会社さんは、51人以上には当たりません。

従業員が多いから、もう対象だろうと思い込んでいる会社さんも、結構いらっしゃるのではないかと思います。

51人の基準は、段階的に下がっていきます。

この51人という数字は、これから段階的に下がっていきます。

2025年6月に、年金制度改正法が成立しました。

企業規模の要件を、2027年10月から2035年10月までの間に、段階的に撤廃する内容です。

年金制度改正法の社会保険の適用拡大について(連合)

2027年10月からは、36人以上の会社が対象になります。

2029年10月からは、21人以上です。

2032年10月からは、11人以上です。

そして2035年10月には、人数の要件がなくなります。

1人でも従業員を雇っている会社なら、週20時間以上の方は社会保険に入れないといけなくなるわけです。

2年ごとだったり3年ごとだったり、数字も中途半端で、正直なところ私も覚えられません。

毎回、資料を見ながら確認しています。

一番悩ましいのは、週20時間前後でシフトに入る方です。

週20時間というと、基本的にはアルバイトさんになると思います。

週20時間を超えないように、十数時間で働くという方法も、もちろんあります。

ただ、一番問題になりそうなのは、週20時間前後で働く方です。

特に、サービス業や小売業、アミューズメントなどの業界です。

アルバイトさんがシフトで動いているので、たくさん入る月もあれば、あまり入らない月もあります。

週20時間は、月間で言うと87時間ぐらいです。

この基準を超えたり超えなかったりする人をどうするか。

このような方が、たくさん出てくるのではないかと思います。

2ヶ月連続で週20時間以上なら、3ヶ月目から加入です。

ここは、日本年金機構が考え方を示しています。

契約上の所定労働時間は、週20時間未満だとします。

それでも実際の労働時間が2ヶ月連続で週20時間以上になり、その後も続く見込みがあるとします。

その場合は、3ヶ月目の初日から被保険者になる、という趣旨です。

所定労働時間は週20時間未満でも、実際の労働時間が週20時間以上となった場合の取扱い(日本年金機構)

なお、この週20時間には、残業時間も含めて考えます。

会社としては、毎月の勤務時間を、残業も含めてチェックしておく必要があります。

本人も入りたくないし、会社も入れたくない。

そういう場合は、基本的には全ての月で、週20時間、月87時間を超えないように管理するのがベストです。

とはいえ、忙しい月もあります。

突発的に1ヶ月だけ超えてしまうのは、しかたがない面もあります。

でも、2ヶ月連続はダメです。

「2ヶ月連続にならなければいいんでしょう」

こう考えて、超える月と超えない月を交互に繰り返すのも、あまりよくありません。

基本は週20時間未満に抑えて、超えるのは突発的な1ヶ月だけにしてください。

2ヶ月連続で週20時間以上、継続見込みがある場合は3ヶ月目初日から加入

入れ忘れは、調査や本人の申し出で見つかります。

一番怖いのは、加入基準を超えていたのに入れていなかったことが、あとで見つかる場合です。

一つは、年金事務所の調査です。

調査では、賃金台帳を出すように言われます。

賃金台帳には勤務時間も載っているので、すぐに分かります。

「この人、勤務時間が明らかに多いのに、なぜ入っていないんですか」

こう言われてしまうと、入らざるを得ません。

もう一つは、本人からの申し出です。

「基準を超えているのに入れてもらえていないので、入れてもらえますか」

こう言われる可能性もあります。

加入は、最大2年さかのぼります。

ここで、「今から入ってくださいね」とはなりません。

加入基準を超えていたときまで、さかのぼって入れることになります。

さかのぼれる期間は、最大2年です。

社会保険料を徴収する権利は2年で時効になる、と法律で定められているからです。

厚生年金保険法 第92条(法令検索)

2年さかのぼれば、その間の社会保険料が発生します。

社会保険料は、今とても高い。

保険料は、標準報酬月額に保険料をかけて決まります。

基本給だけでなく、手当や残業代、交通費も含めた合計の金額で、だいたいの枠が決まる仕組みです。

週20時間を少し超えてアルバイトさんだと、時給にもよりますが、給与はざっくり15万円ぐらいかなと思います。

15万円で計算してみます。

協会けんぽ大阪支部の令和8年度の料率で、40歳未満の健康保険の本人負担は7,597円です。

令和8年度保険料額表(全国健康保険協会)

厚生年金の本人負担は、13,725円です。

合わせて、2万円ちょっとになります。

社会保険は労使折半なので、会社も同じ額を納めます。

なお、令和8年4月分からは、子ども・子育て支援金(0.23%)が健康保険料に上乗せされています。

2年分なら、1人で約100万円になります。

本人負担の2万円を24ヶ月分、さかのぼって納めるとします。

それだけで、48万円です。

「48万円、いきなり払ってください」

こう言われて、すぐに出せるアルバイトさんは多くないと思います。

アルバイトさんは、2年経てばもう辞めていることも十分あります。

そんなに払えと言うなら辞めます、となってしまうこともあるでしょう。

辞めた人に、ずっと請求し続けるのも、現実には難しいものです。

もちろん、本人の保険料なので、本人に負担してもらってもかまいません。

本人が将来受け取る年金にも関わります。

ただ、手続きをしていなかったのは会社ですから、会社に責任がないとは言えません。

結局、会社が本人の分まで負担するケースが、よくあるのです。

そうすると、本人分の48万円と会社分の48万円で、96万円です。

給与15万円の方1人で、約100万円を会社が一度に負担することになりかねません。

10人いたら、1,000万円です。

金額によっては、経営問題にもなりえます。

本人分も会社が負担した場合の2年分の概算約96万円

まとめ

アルバイトさんの勤務時間が、2ヶ月連続で加入基準を超えたら、社会保険に入れてください。

社会保険の加入基準は勤務時間で決まり、被保険者51人以上の会社では週20時間です。

51人は、従業員数ではなく、社会保険の被保険者数で数えます。

この人数の要件は2027年10月から段階的に下がり、2035年10月にはなくなります。

悩ましいのは、週20時間前後でシフトに入るアルバイトさんです。

実際の労働時間が2ヶ月連続で週20時間以上なら、3ヶ月目から加入です。

週20時間には、残業時間も含めます。

突発的な1ヶ月はともかく、交互に超えるのもよくありません。

入れ忘れは、年金事務所の調査や本人の申し出で見つかります。

見つかると、最大2年さかのぼって加入することになります。

給与15万円なら本人負担は月2万円ほどで、会社も同じ額です。

2年分を会社がまとめて負担すれば、1人で約100万円です。

本人が在籍している間に入れておけば、本人負担分は給与から控除できます。

働き方をアセントさせる一歩は、シフト表を「今月」だけでなく「先月と今月」で見ることです。

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